ショット力=コントロールの3乗×スピード | 間違いだらけのテニス指導 <初級(初心者)・中級から上級テニスを目指すために>

ショット力=コントロールの3乗×スピード

ショット力を計るバロメーターはいくつかあるでしょうが、一つの指標としてタイトルのとおりとしました。要するにコントロールのほうがスピードよりも重要だ、ということです。もちろん、スピードは素晴らしい武器になりますが、そればかり追い求めては上手くならないということです。

さて、本件は先頃行われたマイアミオープンをTV観戦した感想から書いた次第です。
ご存知の通り錦織選手はイズナー選手に敗れ、ジョコビッチ選手はイズナー選手に勝ちました。この二つの試合を見て、ジョコビッチ選手が実践していて錦織選手が実践できていなかったことがありました。錦織選手に実践のための技術力がないとは思えません。実践するかどうかその選択の的確さがジョコビッチ選手にあったのだと思います。

イズナー選手は強力なサービスとストロークを持った選手です。錦織選手はその強力なショットに対抗して打ち合っていましたがジョコビッチ選手は無理をしていませんでした。ジョコビッチ選手はイズナー選手の強力なショットを緩くても深くミスしないで返すことを優先していると思いました。イズナー選手はいくら強打しても深くコントロールされて返ってくるボールに徐々にいらだっているように見えました。短くなっていくボールなら強打で決めるチャンスが広がっていきますが、深く深く来るボールは強打で決めれません。それで、いつのまにか無理して決めるには(エースをとるには)難しいボールまで強打し、自らネットやアウトでミスをしだしたのです。

錦織選手はイズナー選手に対抗しました。しかし、そのコントロールが甘く、イズナー選手の懐にカウンターをわざわざ食らいに行っているようなボールを供給することになっていました。イズナー選手に甘いボールをエースされると、錦織選手はさらに相手を追い込もうと強打しましたが、それは無理なものであり自分でミスをしだしました。

ジョコビッチ選手はイズナー選手と何度か対戦しているようです。ですから錦織選手よりも戦い方をよりよく知っていたのかもしれません。そういう条件を抜きにしてゲームを評価した場合、ジョコビッチ選手のコントロール力は錦織選手のそれと比較し一日の長があると見たのです。より正確に言うならば、コントロール力のあるショットの選択力がジョコビッチ選手のほうがあるということかもしれません。

錦織選手が世界のベスト3に入れるかどうかはまさに総合力であり、その鍵はコントロールショットの選択力だと思うのです。そして、これは世界のトップのことなのですが、私たちにも大いに当てはまることだと思うわけです。

錦織選手は自他とも認めるストローク力のある選手だと思います。しかし、それでもある時はそのストローク力を上回るパフォーマンスが他の選手によって錦織選手に対して発揮されるわけです。世の中上には上がいますし、その上はその日の条件で登場するものです。そんなハイパフォーマンスにも総合力で対応できるようになった時、錦織選手のベスト3が現実になってくると思うのです。